「技術の日産」が直面した構造的な課題
西川廣人氏は、かつて「技術の日産」と称された日産が、なぜトヨタに差をつけられてしまったのかを分析しています。1970年代から成長を支えた「ケイレツ(系列)」と呼ばれる強固なピラミッド型の企業間関係が、皮肉にもその後の大きな足かせとなったと指摘。1980年代以降、自動車業界が「国内生産・輸出」から「海外現地生産」へと大きく舵を切る中、日産は他社に先駆けて海外シフトを進めながらも、運営の仕組みや経験のアップデートが不十分であり、トヨタの後塵を拝する結果になったと述べています。
ゴーン事件の全貌とルノー統合への葛藤
西川氏は、世界を震撼させたゴーン氏の不正行為についても言及しています。調査によれば、未開示報酬や経費の濫用など、不正の規模は総額350億円以上に及ぶとされています。また、ゴーン氏の逮捕直前に行われた会談では、ルノーとの統合拒否を巡り、ゴーン氏から「あなたは不賛成なんだな」と問いかけられたという緊迫した場面も回顧しています。高額報酬に対する世論を極端に気にしていたゴーン氏の側面や、日産が直面した経営上の葛藤、そして激動の時代が浮き彫りになっています。
まとめ
西川廣人氏の回顧録からは、日本型製造業の成功モデルが抱える構造的な限界と、カリスマ経営者の光と影が鮮明に浮かび上がります。著書『わたしと日産 巨大自動車産業の光と影』では、日産が歩んできた歴史と、巨大自動車産業の内部で起きた出来事が克明に綴られています。トヨタとの競争、海外シフトの苦悩、そしてゴーン氏との対立。これら一連の出来事は、これからの製造業や組織運営のあり方を考える上でも、非常に重要な示唆を与えてくれるものです。
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