「ピンピンコロリ」の厳しい現実
多くの人が理想とする、元気な状態で最期を遂げる「ピンピンコロリ」。しかし、2000人以上の看取りを経験してきた在宅緩和ケア医の萬田緑平氏は、「長生きするほどピンピンコロリは失敗する」と断言します。大病をせずに長生きしても、内臓の老化は避けられず、動けなくなる時期が必ずやってくるからです。萬田氏によれば、たまたま寝ている間に亡くなるケースは全体の1%にも満たないといいます。多くの場合は、体調の変化により発見され、その後の医療対応が人生の質を大きく左右することになります。
救急搬送と延命治療のジレンマ
なぜ理想の最期が叶わないのか。その背景には、救急搬送後の「延命治療」があります。本人が「延命はしない」と望んでいても、急な事態にパニックになった家族が「できる限りのことをしてほしい」と医師に託すケースがほとんどです。その結果、検査や手術、点滴による治療が続き、本人の意思とは裏腹に、死の瞬間を先延ばしにするような状態が続くことがあります。身体への負担や家族の疲弊を招くこともあり、医療の現場では「延命か、尊厳か」という難しい問題が常に存在しています。
自分らしく最期を迎えるために
後悔しない最期を迎えるためには、「ピンピン生きること」以上に「具体的な死に方」を考えておくことが重要です。作家で医師の久坂部羊氏との対話では、過剰な医療によって自然な死が妨げられる「医療幻想」への警鐘が鳴らされています。また、歩行などの日常動作の変化から自身の健康状態を把握することも、人生の最終段階を考える一助となります。過度な延命治療を避け、自分らしく最期を迎えるための準備が、人生100年時代において今求められています。
まとめ
人生100年時代、長生きすることと同様に、「いかに最期を迎えるか」という問いは避けて通れません。理想の「ピンピンコロリ」が難しい現実を知った上で、延命治療のあり方や自身の意思をあらかじめ整理しておくことが、本人と家族双方の平穏を守るために不可欠です。
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